展示パーツ
理科系展示施設やミュージアム向けに、視覚効果を楽しめる特別な展示パーツを製作しました。依頼主からのご要望は、幾何学や流体力学の原理を、子どもから大人まで直感的に理解し、楽しめる造形物にしてほしいというものでした。当社はこの課題に対し、アクリル素材の高い透明性を最大限に活かし、光の屈折や影の移ろいを引き立てる立体構造を、高精度切削加工によって形にしました。理論上の形状を、視覚的に美しく、かつ触れてみたくなるデザインへと昇華させています。
製作にあたっては、形状ごとに異なるR曲線を精密に制御する必要があり、加工条件は極めて複雑でした。さらに、一部の加工位置は壁際に近く、割れのリスクが高かったため、切り込み量を細かく調整しながら進行しました。また、アクリルは加工条件が不適切だと曇りや溶着が生じ透明度が損なわれ、後工程で研磨が必要になることがありますが、本事例では送り速度や切削条件を徹底的に最適化しています。結果として、加工後すぐに高い透明度を確保でき、研磨工程を省くことでリードタイム短縮とコスト削減の両立を実現しました。
完成品は来館者から「思わず触れてみたくなる展示」として高く評価され、SNSでも多くの反響を集めています。さらに、造形にあしらった幾何学模様はそれぞれ波動・渦・対称性といった科学的テーマを象徴しており、視覚教育の教材としても応用可能です。今後は、科学的テーマ別にシリーズ化する展開も視野に入れています。